怪談鬼火の沼
篠原甚左衛門(浜村純)に不正を追求されたお数寄屋坊主の宗伯(沢村宗十郎)だったが、甥の敬助(小林勝彦)が甚左衛門と若党を殺し、危ういところを助かる。それから1年、宗伯は金をせびる敬助を疎ましく思い、敬助は宗伯の財産を自分のものにしようと考えていた。遊び仲間の三郎太(若山富三郎)の入れ知恵で、妾のお蓮(近藤恵美子)と宗伯を事故死に見せかけて温室で殺そうとしたが、死んだのは侍女の八重(高野通子)だった。その夜、八重の兄と名乗る清蔵(丹羽又三郎)が妹の安否を訪ねてやってくる。三郎太が清蔵を斬って井戸に投げ込むが……
井戸を調べると清蔵の死体がなく、おまけに彼が旅回りの役者とあっては物語の予測はつくのですが、悪党顔のワカトミが意外や意外というのがミソですね。
全然怖くない怪談映画でした。
浅水与四郎は幼少から忠直の側近く仕える忠臣で、忠直附きの腰元志津と祝言をあげた。忠直は内外からその英邁振りをうたわれ、特に武芸に熱心で、よく家中の若者を集めて槍試合などを行った。ある日、みずから白軍の大将となって出場した忠直は、紅軍の副将大島左太夫、大将小野田右近を突き伏せた。ところがその晩、忠直が奥庭に出た時、昼間の二人が話す「以前ほど、勝ちをお譲りするのに骨が折れなくなった」という言葉を聞いて愕然となった。翌日、急に槍試合を命じた忠直は、真槍で例の二人を傷つけてしまったが、二人はほどなく割腹して果てた。生まれてこのかた自分の身に注いでくれる賞讃は偽りであり、家臣の追従であることを知って深い懐疑にとらわれた忠直の行動は、それからというもの暴虐非道を極めた。人妻を犯したり、諫言する家臣を斬り棄てるなど別人のような乱行がつづいた。これは不信に包まれた忠...