旅から旅へさすらい、喧嘩の修羅場に命を張る一匹狼--房州無宿御子神の丈吉。渡世人はその名を聞いただけで恐れた。ある日、丈吉は、足の生爪をはがして高熱を出し、宇都宮の茶屋の娘、お絹の手当てを受けた。ところが、このお絹を如来堂の久兵衛と開雲の長五郎が張り合っており、無理矢理お絹を連れ去ろうとするのを、丈吉が邪魔をする。仕返しを恐れたお絹を丈吉は連れて土地を離れた。--三年後。お絹との間に一粒種、小太郎をもうけた丈吉は、武州本庄宿で細工師として堅気の暮しをしていた。ある日、丈吉は仕事で宇都宮を通るが、久兵衛と長五郎に捕われ残酷な私刑にあい、左手の薬指と小指を潰されるが、お絹と小太郎のことを思い耐え忍ぶのだった。だが、その頃、久兵衛と長五郎の子分たちが、当時追われていた、国定忠治を逃すために本庄宿で、忠治と落ち合っていたが、偶然、お絹と小太郎を見つけ惨殺し...
Directed by another old master of chanbara almost exclusively of the jidai-geki samurai variety. In 1969, these kinds of films were on the wane. Many good directors were finding themselves high-and-dry, even when it came to bread-and-butter assignments. Uchikawa found most of his later work in TV as his movie career faded.
“まむしの兄弟”シリーズ四作目。義理にも人情にも縛られない二人の男が次々と引き起こす騒動を描く。脚本は佐治乾と蘇武道夫の共同執筆、監督は「木枯し紋次郎」の中島貞夫、撮影は「ゾロ目の三兄弟」の山岸長樹がそれぞれ担当。 十八回目の刑務所暮らしから釈放された政は、出迎えた勝と神戸へ戻って来た。空っけつの二人は、バラック建ての歓楽街“おかめ横丁”にやって来た。そして売春バーの客となるが、女達に無一文がバレてしまい、用心棒のかなり年を取った鉄と辰の二人と大乱闘になる。ところがこの鉄と辰も、政らと同じ“まむしの兄弟”と名乗っていたので、またまた大騒動となった。翌日、刑務所で知り合った矢東会の山崎から政と勝は“おかめ横丁”の鉄らを痛めりけるようにと依頼された。矢東会とつながりのある、東栄建設が“おかめ横丁”を立ちのかせ、跡に娯楽センターを作るというのである。バキュ...
昭和初期の大阪、港湾荷役を生業とする北駒一家の若頭栄次郎は組中の信望を集めていた。栄次郎に嫉妬する兄貴分岩嶋は、敵対する高島組と結託する。高島組は北駒こと北村駒蔵を襲い、また栄次郎の根も葉もない噂を流した。栄次郎を想う娼妓小菊も悩み大阪を離れる。栄次郎は北駒に諭され一度は堅気の道を歩むが、岩嶋が北駒一家二代目を襲名するのを知り白装束で会場に殴り込みをかけた…。
関東大震災の直後。藤辰一家の幹部伊介と新次は、あくどい親分藤辰に忠告したことから、口論となり、藤辰はあやまって自分を刺し、死んでしまった。伊介は、その責任を負い、新次を逃した。松島に近い漁港に来た新次は夫に捨てられた姉芳江らとひっそり暮していた。だが、縁日で小春のインチキ見世物をあばいたことから、この土地を仕切る春駒一家の代貸になっていた伊介と再会した。伊介もまた藤辰組に居辛くなり流れて来たのだった。その晩、春駒の賭場が、ライバル竜神組の神部親分の仕組んだ罠にかかって混乱し、それ以来、客は竜神の賭場に移ってしまった。一方、新次は先の失敗で遊廓に売られた小春を訪ねていた。彼女が昔なじみのお美和に似ていたからだった。その晩、伊介が藤辰の復讐のために後を追って来た清吉の挑戦を受けた。清吉は、新次のためにその場を引きさがったものの、伊介には次の危難が待ってい...
信州赤石山脈の裾野にある村の豪農、雨宮家では、当主剛蔵、歌江婦夫の次女、真理子の結婚式を明日に控え、長女千尋も、妹の結婚式に出席するため、二十年ぶりに実家に帰ってきた。その夜、明日は花嫁になる筈の真埋子が殺され、その死体には、面半分が真赤な絵具で塗られた鬼面がくくりつけられていた。当主剛蔵は雨宮家の後取娘紀代の娘婿で、紀代が村の水車小屋で通り魔に殺されたあと、現在の妻歌江と再婚し、次女真理子、三女薫、四女令子をもうけ、長女の千尋だけが紀代の子である。真理子の結婚式に招待されていた多羅尾伴内は、早速事件の解明に乗り出した。犯人は雨宮家の財産相続にからむ内部の人間の犯行と考えられたが、殺人現場に落ちていた絵筆から、画家日向の犯行という意見が有力と見られた。伴内は、村で唯一の女子校花園学園の用務員をしていた尾崎の死体を水車小屋の付近で発見する...
歌人吉野秀雄は神州清潔の民だった。次男健次がスエーデンの留学生リーナヤコブセンと一夜を共にした時、秀雄は夷狄の女と寝た息子を激しく罵った。健次はそんな父親に絶望、作家山口瞳宅に身を寄せた。山口は戦火の余じん消えやらぬ昭和二一年、鎌倉アカデミアで秀雄に学んだ。風変りな先生だったが、万葉をうたう時、へべれけに酔って放歌高吟する時、山口は我が詩才乏しと自らをせめた。が、秀雄は山口の才能に注目し、自虐癖のある彼をやわらかい心で包んだ。山口は吉野先生は頑固な人でないと強調した。一方、息子に怒りをぶつけた秀雄は奈良へ作歌の旅に出た。長男浩一が長い療養生活から戻ったのはそんな折りだった。浩一の全快を祝して姉弟が集ったが、しかしこの席に呼ばなかったかわり者の父に話題が移っていった。秀雄は先妻を亡くし、家政婦だったとみ子と結婚した。“これの世に二人の妻と婚いつれどふ...
おなじみ警視庁のずっこけ刑事片山義太郎と婚約者の女子大生雪子、そして名探偵の三毛猫、ホームズの活躍を描くシリーズ第四弾。楽壇への登竜門といわれるスタンウィッツバイオリンコンクールに出場が決まっている桜井マリ(松原千明)が何者かに狙われ「命が惜しかったら本番で演奏ミスをしろ」と脅される。この事件に心をいためた主宰者は六人の出場者の身辺保護を警視庁刑事片山義太郎(石立鉄男)に依頼した。六人はコンクール当日の一週間前から東京郊外の旧財閥の館に集められ、外出禁止で猛練習をすることになっていた。ところがその合宿入りの前日、マリとならんで優勝候補と目されていた大野(唐沢きよし)が路上で何者かにひき殺された。緊張した片山刑事は婚約者の女子大生吉塚雪子(坂口良子)に連絡係を頼み、愛猫ホームズを連れて館に乗り込んだが、恐るべき犯人の暗躍は続き、殺人事件がまた、発生...